パテーベビーをめぐる日本国内の状況(1920年代)

札幌でミニコミ紙「家庭」を主宰した福山甚之助は,1930年の秋,家庭社に「家庭シネマ部」を設け,小形活動写真の出張撮影・出張映写・現像のサービスを開始すると発表した(1930年11月発行の「家庭」第56号).

「小形活動写真」とは一般に,フィルム幅が普通(35ミリ)より小さいもの(16ミリや8ミリなど)を指すのだが,ここで福山が言う「小形活動写真」は,フィルム幅9.5ミリのもの(いわゆる「パテーベビー」)である.

福山がこの事業を開始するに至った背景,その意義などについて理解するための準備作業として,パテーベビーをめぐる日本国内の状況について整理してみた.