雑誌『内観』と標題部が瓜二つ

新聞「家庭」の標題部は、茅原華山が発行していた月刊雑誌『内観』の標題部と瓜二つである。文字や模様の配列が似ているし、その模様自体も瓜二つである。

「家庭」創刊号(1926年3月11日発行)の標題部
雑誌『内観』第61号(1925年4月1日発行)の標題部

標題文字の左右にある模様を見比べてみると、「家庭」では、「内観」の模様の巻いている箇所に、福山商店の商標である3種の巴(一つ巴、二つ巴、三つ巴)が嵌め込まれている。

よく見ると、左巻きの巴と右巻きの巴が、中心軸の左右に対称に配置されている。

これら3種の巴について、福山醸造株式会社は次のように述べている。

現在も商標として使用している巴のマークは、創業当初からのものである。巴は神社の紋章であり、アイヌの紋章であり、また函館港のしるしでもあるといった普遍性に関連づけて選ばれたものであった。ただ巴の印は左巻きが本来であるが、商標としては左巻きは縁起がよくないというので、右巻きにしている。

出典: 福山醸造株式会社企画部・創業百年記念誌編集委員会(編)『百年の歩み』株式会社福山倉庫・福山醸造株式会社、1991年、p.25.

なお「家庭」の標題部は、第11号(1927年2月発行)から、図柄は同じままで白黒を反転させたものに変わった。

新聞「家庭」第11号(1927年2月11日発行)の標題部

また『内観』も、第77号(1926年8月発行)から標題部を下図のように変えた。

雑誌『内観』第77号(1926年8月発行)の標題部

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