中谷宇吉郎『雪』をめぐるエピソード 中谷宇吉郎著『雪』(岩波書店) 岩波新書の『雪』は、中谷宇吉郎の数多くの著作のなかで最もよく知られたものであろう。この『雪』に関し、中谷の高弟でもある樋口敬二氏が、「中谷宇吉郎小伝」のなかで興味深い事実を指摘しておられる(注1)。 「『雪』の初版が1938年7月に出た時に、雪の結晶の研究史についての記載には加納一郎著『氷と雪』(梓書房、1929)からの引用が多いのに、その出典が明記されていないので... 2015.08.21中谷宇吉郎