安全保障技術研究推進制度

「軍事研究」の戦後史

“軍事研究”にいくら投入されているのか

防衛省(防衛庁)は、毎年度どのくらいの予算を軍事研究に費やしているのだろうか。防衛省(防衛庁)の予算で「研究開発費」として括られている金額が一つの目安になるだろう(注1)。 というわけで、その金額の変化をグラフにしてみた。赤の縦棒が研究開発費の総額(右の軸、単位は億円)で、紫の折線グラフ(左の軸)は、防衛予算全体に占める研究開発費の割合(%)である(右端の2017年度は、概算要求の金額にもとづく)...
「軍事研究」の戦後史

日本学術会議の会員構成の「偏り」

いま日本学術会議で、防衛装備庁による「安全保障技術研究推進制度」に研究者が応募することの是非をめぐって議論が行なわれている。研究者がこれに応募することは、日本学術会議が1950年代、60年代に確立した基本姿勢の一つ、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」に抵触するのではないか、いや「基本姿勢」のほうこそ見直すべきではないか、などが論点である。 こうした議論において想定されている「研究者」は...
「軍事研究」の戦後史

「行政指導」の例

『「軍事研究」の戦後史』の第6章第4節で、防衛装備庁による安全保障技術研究推進制度について Gerald Hane が、日本には「行政指導」という不透明な手法があるので、慎重に考えたほうがよいと指摘していることを述べた。そこで今回は、軍事に関わる行政指導の事例を一つ紹介しておこう。(ただし、Gerald Hane がこの件を念頭においているという意味ではない。) 1983年11月8日、日本政府は米...