南極観測

「軍事研究」の戦後史

米軍のMATSからの支援

軍(および軍関連機関)からロジスティック面で支援を受ける研究のうち、自衛隊から支援を受けた研究と並ぶもう一つの例は、米軍のMATSからの支援を受けた研究である。 日本物理学会は、会員の求めに応じて臨時に開催された1967年9月の総会で三つの決議を採択した。その三つ目、いわゆる「決議三」は、こう宣言する。 日本物理学会は今後内外を問わず、一切の軍隊からの援助、その他一切の協力関係をもたない。 しかし...
「軍事研究」の戦後史

南極観測隊の派遣と自衛隊(3)

2017年7月26日 追記本稿掲載後、新資料をいくつか発見・閲覧しました。それをもとに本稿に加筆と訂正を施し、拙論「日本学術会議の「2017年声明」を考える」に、補論3として収めました。 南極観測に自衛隊が協力することの是非をめぐる議論は、海上自衛隊の艦船「ふじ」が活躍するようになっても、なお続いた。 1971年12月、「南極地域研究観測について」と題したシンポジウムが開催された。「防衛庁が南極観...
「軍事研究」の戦後史

南極観測隊の派遣と自衛隊(2)

2017年7月26日 追記本稿掲載後、新資料をいくつか発見・閲覧しました。それをもとに本稿に加筆と訂正を施し、拙論「日本学術会議の「2017年声明」を考える」に、補論3として収めました。 日本学術会議の1963年10月の総会(第40回総会)では、この年8月の、自衛隊が南極観測の輸送業務を担当するとした閣議決定が問題となった。 会長の朝永振一郎が会長報告の中で、輸送業務を自衛隊(防衛庁)に担当させる...
「軍事研究」の戦後史

南極観測隊の派遣と自衛隊(1)

『「軍事研究」の戦後史』では、軍事研究の範疇に、「軍(および軍関連機関)が資金、設備、ロジスティック、その他の面で支援する研究」も含まれるとした(注1)。このうち、ロジスティックの面で支援を受ける研究については、本文中で具体例を挙げることができなかった。そこで何回かに分けて、二つの例を挙げておきたい。一つは自衛隊からの支援、もう一つは米軍からの支援である。 2017年7月26日 追記本稿掲載後、新...